入院費用が払えない!それなら医療制度を利用しよう
医療費30万→10万に!?
どうも、秘密田です。
今年の夏はコロナ渦の影響か、入退院窓口へ支払い相談へ来る方が多くみられました。
今回の記事はそんな支払いが難しい方へ、医療制度の紹介を行っていきます。
こんな方に知ってほしい
・突然の入院で、支払いが心配
・長期入院の負担が難しい
・少しでも支払いを安くしたい
そんな方へ紹介するのは、高額療養費制度です。
どんな制度で、どうやって申請し、どう使うのか。
医療費負担を軽減する当制度について、説明します。
うるせい!ポイントだけ教えて!
って人は、一番下にまとめがあるので、そこだけ読んでくださいな。
高額療養費制度とは
医療保険政策の一つで、ひと月の医療費に上限を設ける制度です。
国民皆保険により保険証を持ってる方は、7割を国が支払い、3割のみを医療機関に支払っています。
※前期高齢者は2割、後期高齢者は所得により1割か3割と人によって異なります。また各種公費により負担が変わる場合もあります。そちらは後ほど、別記事にてご紹介します。
しかし入院や手術、放射線治療による長期通院などで3割負担でも、医療費が高額となってしまう人もいます。
そんな人の医療費による家計負担を、軽減する目的で作られた制度です。
どれくらい安くなるのか
収入によって上限が変動するため、人によります!
表にまとめたので、自分が当てはまるものを参考にしてください。
70歳未満の場合
区分 | 該当条件 | 自己負担の限度額 | 多数該当 |
---|---|---|---|
ア | 標準報酬月額83万円以上の方・報酬月額81万円以上の方 | 252,600+(※1総医療費-842,000)×1% | 140,100 |
イ | 標準報酬月額53万~79万円の方・報酬月額51万5千円以上~81万円未満の方) | 167,400+(※1総医療費-558,000)×1% | 93,000 |
ウ | 標準報酬月額28万~50万円の方・報酬月額27万円以上~51万5千円未満の方) | 80.100+(総医療費-276,000)×1% | 44,400 |
エ | 標準報酬月額26万円以下の方・報酬月額27万円未満の方) | 57,600 | 44,400 |
オ | 被保険者が市区町村民税の非課税者等 | 35,400 | 24,600 |
70歳以上の場合
区分 | 該当条件 | 自己負担の限度額 | 多数該当 |
---|---|---|---|
現役並Ⅲ | 標準報酬月額83万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の方 | 252,600+(※1総医療費-842,000)×1% | 140,100 |
現役並Ⅱ | 標準報酬月額53万~79万円で高齢受給者証の負担割合が3割の方) | 167,400+(※1総医療費-558,000)×1% | 93,000 |
現役並Ⅰ | 標準報酬月額28万~50万円で高齢受給者証の負担割合が3割の方) | 80.100+(総医療費-276,000)×1% | 44,400 |
一般 | 標準報酬月額26万円以下の方・報酬月額27万円未満の方) | 外来(個人)18,000/入院・外来(世帯)57600 | 44,400 |
低所得Ⅱ | 被保険者が市区町村民税の非課税者等 | 外来(個人)8,000/入院・外来(世帯)24,600 | 24,600 |
低所得Ⅰ | 被保険者とその扶養家族全ての方の収入から必要経費、控除額を除いた後の所得がない場合 | 外来(個人)8,000/入院・外来(世帯)15,000 | 15,000 |
※1 総医療費=保険証を使わない10割の医療にかかる費用
報酬月額とは
- 固定給として支給されるもの全部(基本給、役職手当、住宅手当等)
- 見込まれる残業手当(平均的な残業がでる場合それの賃金も含む)
- 通勤手当(ひと月あたり)
- 賞与は基本含まず(ただし年4回以上の場合は、ひと月あたりに均して加える)
以上の合計です。
標準報酬月額とは
社会保険料の金額算出に使われるものです。
上記の報酬月額を元に一定の範囲ごとにいくらと、1~50等級に分けて決まってます。
例)報酬月額155,000~165,000は、標準報酬月額160,000
全国健康保険協会・日本年金機構等で、自分の等級を確認してみましょう。
自分の上限がわかったら、医療費の計算を!
思ったよりも軽減されたんじゃないでしょうか。
しかしここで気を付けたいのが、医療費≠病院からの請求額な点です。
医療費=医療に投じた費用
請求額=医療費+食事代+その他自費分
つまり、上限額で止めてくれるのは、あくまで医療費に関してのみです。
食事代の計算は、入院日数や状態によって食べた分だけ請求額が増えます。
その他自費分は、各病院によりますが、金額を掲示することが義務付けられているので確認してみましょう。
これで大まかな費用計算ができました。制度を利用前と比べてどうでしょうか。
具体例を元に比較してみましょう。
例)
50歳 収入区分ウ 総医療費30万円 10日入院26食(入退院日は1食分)自費5000円
制度利用前
90,000円+460円×26食+5,000円=106,960円
制度利用後
80,100円+(300,000円-276,000円)×0.01+460円×26食+5,000円=97,300円
差額
106,960円-97,300円=9,660円
こんな感じです。
あまり安くなっていないと感じたかもしれません。しかし、長期入院だった場合、毎月9,660円安くなると考えらたどうでしょうか。
とてもバカにできない数字です。
また、手術や治療内容によっては総医療費が100万を超えることもあります。
その場合は
例50歳 収入区分ウ 総医療費100万 10日入院26食(入退院日は1食)自費5000円
制度利用前
300,000円+460円×26食+5,000円=316,960円
制度利用後
80,100円+(1,000,000円-276,000円)×0.01+460円×26食+5,000円=104,300円
差額
316,960円-104,300円=212,660円
20万以上の減額に!
つまり治療内容が重ければ重い程、国が助けてくれる仕組みになっているんです。
申請するには
場所:市役所(国保年金課)
住民票がある最寄りの市役所窓口で申請できます。
必要なもの:保険証、身分証
マイナンバーカードを利用して申請する際は、マイナンバーカード。
第三者なら委任状が必要になります。直筆でも印鑑が必要なところもあるようです。
市町村区によって異なる場合もあるかもしれませんが、基本的に該当する方へは3か月後くらいに通知書が送られてきます。届いたら、窓口へ申請に向かいましょう。
ただし通知がくるが3か月後で、それから申請と確認、その後払い戻しとなるため、非常に時間がかかります。
心当たりがあれば事前に相談に行きましょう。
場所:どこでも
保険証下部に記載されている協会または、組合へ連絡します。
電話にて申請したいと伝えると、案内と申請書類を送付してくれます
必要なもの:各協会、組合によって異なります。
保険証の控えを求められたり、第三者は委任状が必要になることもあります。
こちらは協会、組合によっては高額療養費対象の方でも、通知書を送ってくれない組合もあります。
必ず、ご自身で申請の連絡を入れましょう。
会社の総務にて代行してくれているところも有るようなので、相談してもいいかもしれません。
こちらも申請後、確認に時間がかかるため、戻ってくるのはひと月以上先になります。
出来るだけ早い対応をしましょう。
いや、戻って来るまで遅いよ!
しかもめんどくさい!
ここまで読んでそう思った方多いんじゃないでしょうか。
それに一度ご自身で立替えることも難しい、払い戻しも時間がかかり困ると思います。
その気持ちよくわかります。
そこで!
そういった方には、高額療養費制度の事前申請をお勧めします!
限度額認定証
これがあると病院にて支払う段階で、高額療養費の上限までしか支払わなくていいんです!
高額療養費制度の中に、限度額認定証という書類を交付してくれるものがあります。
保険証のように、カード状の証明書です。
使用方法
保険証と一緒に窓口へ出す
これだけです。
これだけです。(大事なことなので2回)
たったこれだけで、高額療養費と同じように制度が適用され、しかも払う段階で金額に上限を設けてくれます。
一度にたくさんのお金を準備しないで済むんです。
申請方法
場所:市役所(国保年金課)
住民票がある最寄りの市役所へ窓口で申請できます。
必要なもの:保険証、身分証
マイナンバーカードを利用して申請する際は、マイナンバーカード。
第三者なら委任状が必要になります。直筆でも印鑑が必要なところも有るようです。
速いところだと、即日発行してくれます。
また後期高齢者医療保険の場合は、一度申請すると保険証の更新に合わせて、毎年発行してくるようになるので、ぜひ申請してください。
場所:どこでも
保険証下部に記載されている協会または、組合へ連絡します。
電話にて申請したいと伝えると、案内と申請書類を送付してくれます
必要なもの:各協会、組合によって異なります。
保険証の控えを求められたり、第三者は委任状が必要になることもあります。
連絡する2、3日で書類が来ます。
書類作成後、返送すると7日前後で発行されます。
事前申請になるため、入院の予定が決まったり、月に何度も通うような継続治療が決定したらすぐ申請しましょう。
お役立ち情報
さてここまでは簡単に医療制度の説明と、申請方法をお伝えしました。
ここからは、応用じゃありませんが知っていると得する情報をお伝えします。
①高額療養費制度は世帯で合算して利用できることもある!
家族全員入院したけど、みんな微妙に該当区分に達しない。滅多にないですが、高齢者の家庭だと起こりうる場面です。
そんな時、条件によっては利用できる場合があるので、覚えておいてください
70歳未満のみの世帯の場合
・21,000 円以上の医療費自己負担額がある
・2名以上の家族が該当
・該当する区分を超えている
70以上のみの世帯の場合
・区分通りの上限へ合算で達している場合
70歳以上と未満混合の場合
・70歳以上の方の合算が上限を超えている
・70未満の方の合算が上限を超えている
上二つはともかく、混合は計算方法が少しだけ複雑です。
ご要望があれば記事で紹介しますね。
条件を満たしている場合は、申請を行いましょう。
※世帯合算の場合は、合算等の処理をデータ上で出来ないため、病院での返金や減算はできません。自身で高額療養費の申請を保険証の発行元へ行いましょう。
心辺りがある場合は、市役所や各協会、組合に相談しましょう。
②月ごとの上限のため、予定が選べる入院ならば、月を跨がない日程を!
この制度は月ごとに計算されます。
そのため月を跨ぐと、再度上限が設けられるため出来るなら月初めがいいですね。
※急性期病院の場合は、様々な患者を受け入れて出来るだけ多くの方を救うために計画を組んでいます。提案して難しいと言われたら、素直に引き下がりましょう。
③緊急入院でも、入院中に提示すれば適応に!
緊急入院の場合でも、郵送や代理申請で発行し、病院に提示すれば適応できます。
ただし、月を跨がないうちに出すことが条件になります。
心配な場合は病院の医療事務やソーシャルワーカーへ相談しましょう。
④多数該当は上限がさらに低下!
上の表にあった多数該当とは
12か月の間に、3回以上高額療養費の対象になった方は、4回目から上限が下がります。
4回目以降は何度でも適用されます!
繰り返し入院されている方は、確認してみましょう。
まとめ
- 高額な治療費の支払い後は、高額療養費制度の申請
- 病院での負担額を減らしたい時は、限度額認定証を事前に申請
- 申請は、市役所or保険証記載の組合、協会へ
- 限度額症は発行後、病院へ保険証と一緒に提示しましょう。
要するに、保険証の発行元へ申請すればお金が一部戻ったり、払う金額が安くなったりする制度です。
使わない手はないので、支払いで困る前に申請しましょう!
発行には料金も掛からないので、ぜひ活用してください。